
脱毛症(だつもうしょう)とは、本人が生えることを期待していた毛髪(主に過去に生えていた箇所の毛)が生えなくなった状態のことである。通俗的には禿げ(はげ)と言われる。生理学的には、ヒトの頭髪の形状は年齢や個々人の個性により多様であり、こうあらねばならないという正解があるわけではない。故に脱毛症は、本人の期待の上にだけ成立する抽象的な概念である側面がある。かつては台湾ハゲとも言っていた。
脱毛症の類型
男性型脱毛症と脂漏性脱毛症、老人性脱毛症、円形脱毛症、制癌剤の投与などが原因の薬物脱毛症、瘢痕性脱毛症、出産後に起こる産後脱毛症がある。また、精神疾患の抜毛症がある。
男性型脱毛症
男性の大半は加齢と共に多少なりとも前頭部と頭頂部の毛量が減少していく。そのため、これは正常な生理的現象であるとし、病気としては扱われない。後述するような医学的対処も行われているが、医薬品は生活改善薬の一種であり、外科的手法は美容外科手術の一種である。病気の治療ではないので健康保険は適用されない。
皮膚内の毛髪の形成部分に酵素5α-リダクターゼの働きによって男性ホルモンである「テストステロン」から生成された「ジヒドロ・テストステロン」という物質が作用し、毛髪の成長を妨げた結果としてうぶ毛しか形成されなくなることによって起こるものといわれている。毛髪自体が消滅しているわけではない。人類の頭髪がなぜこのような特徴を持つのかは明らかにされていない。男性型脱毛症が始まる年齢は人によってまちまちであり、早ければ10代後半から始まることもある。20代までに始まる男性型脱毛症は若年性脱毛症として区別することがある。また、近年女性にも男性型脱毛症を発症する人が増えてきた。女性の男性型脱毛症は頭頂部を中心に広い範囲が薄くなるもので生え際の後退はなく、一般的な男性型脱毛症とは薄くなりかたは違うが、メカニズムは同じものである。
日本やアジアでは、若ハゲは昔から軽蔑される風潮がある。特に近年はカツラ業界や育毛剤業界が盛んにテレビコマーシャルを流しており、若年性脱毛症を深刻な悩みの原因とする若い男性は多い。そのように人の劣等感を煽り立てて商売をするいわゆるコンプレックス産業のあり方を疑問視する声もある。
老人性脱毛症
人間は60歳を超えると、性差にかかわりなく髪の毛を含む体毛が薄くなっていく。これを老人性脱毛症といい、男性型脱毛症と異なり頭部全体(さらには全身)にわたって毛の減少がある。進行には個人差があり、男性型脱毛症を併発することが多い。
脱毛症への対処
脱毛症、特に男性型脱毛症は病気ではないため、対処するか否かは本人の嗜好次第である。もし脱毛症が悩みとなり、二次的に重篤な影響を及ぼす可能性がある場合には、何らかの方法で対処するのも一つの選択肢ではある。その場合、悩みを解決するために最適な方法は何かという観点から対処法を選択することが望ましい。
剃髪
いわゆるスキンヘッド。中途半端に毛髪が残るから悩むのだと考え、完全に毛髪を剃り落としてしまう。一番シンプルで費用がかからず、他の方法のような二次的な難点が一切無い。脱毛症の問題が見た目よりもむしろ本人の精神面にあることを思えば究極の解決方法とも言える。一方で
* 頭の形が不格好だったり、頭皮に傷がある人はやりにくい
* 頭部を保護する毛髪がなくなるので、頭皮を傷つけやすくなり、冬場は寒い
* 上記の理由から外出時は帽子が欠かせなくなる
* 暴力の象徴と見る地域があり(やくざやネオナチなど)、非難の目で見られることもある。
* 逆に僧侶などにみられることで、外に出た際に身勝手な事をすると際立つ。
といった問題点もある。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』